レバレッジ特許翻訳講座はおすすめできるか?

こちらのページでは、「レバレッジ特許翻訳講座」がどのような講座なのか、メリットとデメリットにわけて説明していきます。

はじめに

私は、2018年1月から2020年12月まで、講座を受講しました。

期間はほぼ3年間ですが、正規の受講期間は2年であとの1年は一定の条件によって無料で延長を頂いた延長期間です。

 

翻訳経験なし、理系知識なし(大の苦手)から、3年で月平均売上40万円は見込める特許翻訳者になりました。

 

私は、この講座で学習したから今があると思っています。

そのため、できるだけ客観的に書きますが、どうしても「おすすめする」側に偏ってしまう部分がありますので、このページの記載内容のみで考えず、他の方の受講感想やネット上の評判なども参考にしてご判断ください。

 

この講座は、他の翻訳講座とはかなり異なる部分もあるので、その分向き不向きはあると思います。

詳細の説明の前に、ざっくり「向いている人、向かない人」をまとめると次の通りになります。

 

向いている人>

  • 「何が何でも翻訳で食べていく」ことを決めた人
  • ある程度の時間(あくまで目安ですが、最低1日3時間以上)を確保できる

 

向かないと思われる人>

  • 「翻訳の勉強をしてみたい」と思っている人
  • 学習のための時間が1日平均1~2時間程度しかとれない人

 

この講座は「稼げる翻訳者を養成すること」を目標としている講座ですので、それを目標としない方には向きません。

そして、講座の受講期間は現状2年が最長です(延長はできます)。その間で必要な学習をしてプロになるにはそれなりのまとまった時間が必要です。

 

講座の概要

以下に概要をまとめます(2021年1月の情報です)。

詳細は公式サイトをご覧ください。

講座の形態通信講座(クラウドに格納されたビデオを各自ダウンロードして視聴)。約3800本のビデオがあり、現在も追加されている。
入校時期いつでも(10月で期が変わるのでそこで価格やサービスが改定される可能性があります。2021年1月現在、第11期)
受講期間1.5年または2年。延長は可能。
コースコース分けなし。統一されたカリキュラムはなく、各自がそれぞれの必要に応じてビデオを視聴して学習を進めていく
講師「管理人さん」1名
サポート個別指導体制あり(個別スカイプコンサル、クラウド上の個別掲示板、ブログへのフィードバックなど)
受講生数常時数十名
受講料受講期間や詳細により異なるが、数十万円~。

 

講座のメリット

1. 総合的な翻訳力が身につく

総合的な翻訳力とは、語学力(外国語、日本語)に、プロの翻訳者となるために必要な語学力以外のスキル(内容理解力、ツール操作能力、営業力、自己管理能力など)を加えた総合的な力を指しています。

 

例えば、「特許明細書の翻訳方法」であれば、他の翻訳講座でも学べます。

「翻訳技術そのもの以外の、翻訳者として稼いでいくには必要なこと」まで幅広くカバーされているのは、この講座の最大の特徴であると思います。

 

個別に少し、解説をしていきます。

内容理解力

(1)基礎知識の習得

講座ビデオの中には「岡野の化学」と「橋元の物理」というシリーズがあります。

同名の高校の化学・物理のテキストをもとに、特許明細書を理解するベースの力となる理系知識の基礎の習得を目的としたシリーズです。

理系のベースがない方はほぼ、このシリーズから学習することになると思います(私もこのパターンでした)。

このシリーズは、これを学習するだけでもこの講座の価値はあると思えるくらいの内容が詰まっています。というのも、このシリーズの学習を通じて、

  • 理系全般に抵抗感や恐れがなくなり、興味を持って明細書を読めるようになる
  • 学んだことと明細書をどのように連動させていけばよいかがわかる
  • 正しい学習方法がわかる

からです。

さらに言えば、プロになってから「この時に学習しておいてよかった」と思うことが本当に多いことを実感しているからです。

 

テキストをなぞって説明していくのではなく、テキストに登場する概念がどのように実際の明細書で出てくるかまで踏み込んで説明がされています。

 

また、このシリーズではノートの取り方や学習全般の進め方までアドバイスがされています。ただ板書するのではなく、自分で情報を整理しながらまとめていく、自分の言葉で説明してみる、などです。

「勉強と言えば暗記」だった人にははじめはかなり負荷がかかります。ですが、確かにこのやり方のほうが断然記憶に定着しやすく、その後の学習も楽になっていくというのが実感できるでしょう。

 

また、「本当に理系科目はさっぱりだったのでついていけるか心配」という方がいるかもしれませんが、心配いりません。

内容としては本当に基礎の基礎からスタートするので、きっちりビデオの通りに手を動かして自分で納得して進めていけば確実に最後まで学習を続けることができます。

 

そして、ここで学習する内容は、分野を問わず、限られた納期で内容を理解した上で訳出して納品するための必須の基礎知識になります。

 

(2)特許明細書を読み解くのに必要な知識の見切り

この基礎固めが終わると、「対訳シリーズ」と呼ばれる実際に明細書を1本翻訳するビデオの学習に入ることが多いです(進め方はあくまで受講生次第です)。

題材は、化学系、分析機器、半導体、メディカル系などさまざまです。

 

このシリーズで、「明細書の翻訳の仕方」全般を学べます。

管理人さんも初見の題材を使用して、一文一文どのようにアプローチをしていくか(何を考えて、どのように検索してなぜその訳出をしたのか)がわかるようになっています。

 

そのため、特に「翻訳開始前にどの程度内容を把握しておくのか」「実際に翻訳する際にどの程度まで調べて訳語を確定しているのか」がつかめてきます。

これは、実際に案件をこなすうちにおおよそ自分の中で見えてくるものですが、もちろん学習当初はわからないので、必要のない部分まで調べたり、肝心なところを理解があいまいなまま進めたりしがちです。

自分のやり方とビデオとの差を認識することで、「プロの考え方」に徐々に近づくことができます。

 

ツール操作能力

実は、TradosなどのCATツール(翻訳支援ツール)の具体的な操作に関しては、現在講座では新しいビデオは出ていません。

受講開始時であれば、「翻訳支援ツールマスター講座」というCATツールの使い方をOJTまたはテキストでサポートする外部の講座を受講すると、その受講料の一定金額が「レバレッジ特許翻訳講座」の受講料から割引されるというサービスがありますのでこちらを利用される方も多いようです。

私の時はそのサービスはなく、独学で学びました(「翻訳ツール大全集」を使い倒しました)。独学でも基本的な操作の習得は十分可能ですし、「いろんなトラブルを経験してなんぼ」のところもあります。

 

では、なぜ「ツール操作能力」を講座のメリットとして挙げたかというと「ツールを自在に使って業務改善する能力が身につく」からです。

講座ではCATツール以外にも翻訳に関するツール、そして翻訳に直接は関係しないツールも含めて、さまざまなツールが紹介されています。

そして、その中にはただインストールして基本的な使い方を覚えた段階では、「基本的な使い方はわかったが、翻訳作業でいまいち使いどころがわからない」と思うようなツールもあります。

 

例えば、EKWordsという無料ソフトがあります。

簡単に言うと、文書内のキーワードを抽出して出現数や出現順などを分析することができるソフトです。

 

実はこのソフト、他のツールと連動させるなど、工夫次第で翻訳の前工程にも、チェックにも、学習中にも便利に使える超優秀なツールなのですが、それに気づいたのはいくつかの講座ビデオを視聴してからでした。なるほどそうやって使うのかと目から鱗が落ちました。

 

ツールの機能は、使い方次第でいくらでも拡張が利きます

今では案件作業中に気づいたこと(ここは改善する必要がある、あのツールでなんとかならないか、など)をメモして納品後にいろいろ検討する、というのが習慣になっています。

 

個人的には「各種ツールを使いこなす」レベルにはまだまだ至っていませんが、講座での学習を通じて、「いつもやっている作業」をそのまま続けるのではなく、常に業務フローを改善する習慣が身につきました。

 

営業力・マーケティング力

翻訳者になるには、「トライアルを受験して、合格する」道が最も一般的なルートです。

ただ、晴れてトライアルに合格しても、すぐに継続的に仕事の依頼が来るようになるとは限りません。

タイミングや運に左右される部分はもちろんあります。

 

それでも、トライアル突破率を高めたり、継続的な依頼を頂きやすくなるような準備や対応をすることは可能です。

そのためには、市場を読むマーケティング力や、「この人に仕事を依頼したい」と思われる営業力などが必要となります。

ここで詳しく触れることはできませんが、講座ではこれらのスキルの高め方もカバーしています。

 

自己管理能力

自己管理能力には、時間管理、健康管理、危機管理、さらには資産管理(税金対策や資産運用)などが含まれます。

この部分に関する内容のビデオも多く、「翻訳講座でそこまでカバーするのか」と思われるような内容にまで踏み込まれています。

 

「稼ぐ翻訳者」になるには、どのような環境であろうと常に一定以上の品質の翻訳文を納品しなくてはなりません。

そのため、自己管理能力は翻訳者となるために必要不可欠な能力です。

 

これらの自己管理能力は習慣として形成されるので、高いレベルの自己管理が習慣化できている人とそうでない人ではものすごく差が開いてしまいます。

 

一例を挙げると、時間の使い方です。

私は受講開始当初、受講生ブログに進捗を報告したときに「もっと学習時間とれるはず。使った時間をすべて可視化すること」とアドバイスを受けたことがあります。

記録してみたら確かに無駄が見えてきて、そこから時間の使い方が大きく変わりました。

 

今ではさすがに当時のような、一分一秒を削り取るような時間の使い方をしていませんが、「時間が何よりも貴重な資産」であり「時間の使い方次第で人生が変わる」ということを実感しました。

受講前は、私は本当にもったいない時間の使い方をしていました。

もし、仮にそのままの時間の使い方で学習を続けていても結果は出なかったでしょう。今では以前のような時間の使い方はしないと断言できます。

 

2. 個別フィードバック

総合的な翻訳力の養成に加えて、この講座のもうひとつの特徴は、受講生への個別フィードバックです。

フィードバックのルートとしては、

  • クラウド上の個別掲示板への質問と回答(無制限)
  • スカイプによるコンサル(回数は講座の期やコースによって制限のある可能性も)
  • 受講生ブログに対する講座ビデオ(全員に公開)でのフィードバック

などがあります。

 

講座には統一したカリキュラムはありません。学習の進め方は各自に任されています。

そのため受講生自身がスケジュールを決めて学習を進めていきますが、自分で迷いなく進めていける人は恐らく少数派だと思います。

迷いが生じたときやアドバイスが必要なときにはスカイプでじっくりと相談することができます。

 

また、自分では正しい方向に進んでいると思っているのに実は真逆の方向に進んでいたり、自分では気づかない癖があって、それが原因で成功から遠ざかっていることもあります。

これらは、他者からフィードバックを受けることでようやく問題に気づくことができます。この講座では、受講生ブログがその役割を担っています。

 

ブログに学習内容、進捗状況、考えたことなどを書くと講座ビデオの形でフィードバックを頂けることがあります。

私はブログを書いていたので、このサービスの恩恵をかなり受けました。

検索の仕方、どこまで深掘りして調査するか、誤訳の原因は何なのか、そして結果が出ないときのマインドの持ち方に至るまで、さまざまなアドバイスを頂いたおかげで今があります。

 

念のための補足ですが、掲示板、スカイプ、ブログの利用はすべて任意です。

ひとりで進めて期限内に結果を出される方もいますが、個人的には積極的にこれらのサービスを利用したほうが結果は出やすいと思っています。

 

講座のデメリット

次に、講座のデメリットを挙げていきます。

実は、今私が思う「デメリット」は特になく、あえて言えば、かなり厳しいことを言われる(可能性がある)ので豆腐メンタルな方は覚悟が必要であることです。

私は焦げ目強めの焼き豆腐になり正直しんどい時もありましたが、プロになるために必要なアドバイスであったと今は感謝しています。

 

人によっては「デメリット」と感じるかもしれない特徴はいくつかあります(他校にあって、この講座にないものなどです)。それらを挙げてみます。

 

1. 「添削サービス」がないこと

掲示板などで、例えば「公開訳はこうなっているが、私はこう考えてこう訳出したが間違っているか」のような質問をすることはもちろんできます。

ですが、「訳してみたのでこれを添削してください」とお願いしてもそのまま添削されて返ってくることはまずなく、恐らく、良くても間違っているところの考え方のヒントが提示されるだけでしょう。

 

2. CATツールの操作に関するサポートはしていないこと

メリットの「ツール操作能力」で少し説明をしたとおり、CATツールの操作に関しては独学でやるか、外部の講座を利用することになります。

どうしてもひとつの講座内でサポートしてほしい人には向いていないかもしれません。

 

3. 「お仕事紹介」はないこと

トライアル受験から仕事獲得まではすべて自力で行います。

情報のシェアなどもありません。もちろん、その過程で生じた悩みなどは個別に相談に乗ってくださいます。

 

4. カリキュラムや分野・レベルごとのコース設定がないこと

膨大な本数のビデオ(3800本近く・2021年1月現在)を前に、学習当初はどこからどう手をつけていいのか戸惑いながら進めていくことになります。

大まかな指針があったり、受講生・卒業生の進め方を参考にしたり、スカイプで相談したりできますので問題にはならないと思いますが、「学校が決めたカリキュラムで一歩一歩着実に進みたい」タイプであれば向かないかもしれません。

 

5. まとまった時間を投入する必要があること

2年ほどの間、講座の学習を最優先にする必要があります。他のものはすべて切り捨てなくてはなりません。

やはり、短期で集中して取り組んだほうが結果は出やすいですし、長丁場になるほど環境も変わりますし、学習開始時の熱量で継続して学習を継続することが難しくなります。

どうしても時間が取れない、それでもやりたいという方は一度管理人さんに相談されることをおすすめします。

 

6. 受講料が高い?

受講料が高いと思われる方がおそらくいらっしゃるのではないかと思います。

他校の通信講座(1コース数万円程度)と比較したら1回に支払う金額としては確かに高いです(詳細は公式サイトのこちらのページをご確認ください。期が変わると改訂される可能性はあります)。

 

ただ、内容や受講期間を鑑みたときに、それでも高いかです。

また、ブログへの記事入れや受講感想の提出などいくつか条件を満たせば無料で延長(3か月~原則6ヶ月程度、条件によりそれ以上)されます。

私は1年近く延長いただいたということもありますが、それがなかったとしても、個人的には高くないと思っています。

 

まとめ:レバレッジ特許翻訳講座はおすすめできるか?

次にすべて当てはまる方にはおすすめします。

  • 「何が何でも翻訳で食べていく」ことを決めている人
  • ある程度の時間(あくまで目安ですが、最低1日3時間以上)を確保できる人
  • 上に挙げたデメリットをデメリットと感じない人

 

そうでない方は受講しても「ちょっと違う」と思われる可能性が高いので、慎重にご検討ください。

繰り返しになりますが、これは、「受講してよかった」と思っている人が書いた記事ですので、講座に関する他の評判も併せてご判断ください

 

おまけ:受講中に気を付けるべきこと

最後に、受講を決めた方へのアドバイスです。

私は受講中、さまざまな失敗をしてきました。以下は、以前受講感想として提出した下記の記事の後半部分をほぼそのまま記載したものです。

【受講感想】会員110(103続編)

 

講座でよく言われていたことの一つに、「誰かの失敗を自分事として捉えられる人は成長が早い」という言葉があります。

私は「他人があそこで穴に落ちた」ことがわかっていても、すっぽりと同じ穴に落ちるタイプでした。そして、やっぱり成長が遅かったのです。

 

以下の失敗をなぞってしまうと、かなりの時間のロスになります。

受講開始当初はピンとこないかもしれませんが、どこかに記録しておいて、思い出してください。

 

失敗その1:ニーズのある市場に飛び込めなかったこと

完全な結果論になりますが、私は特許翻訳で稼げるまでの期間を1年程度は短縮できたと思っています。

受講1年目終了時には、「バイオメディカル系は英日翻訳を目指すなら案件のボリュームもありそうだし稼げる分野だろう」ということは、講座の卒業生の活躍を見たり、求人情報を見たり特許の出願動向などを見たりして把握していました。

 

この頃は、機械系や電気系のトライアルを受験して撃沈したりしていた頃で、退職を決断した頃でもありました。

ここで、バイオメディカル系の学習に3ヶ月ほど集中して取り組んで、その後トライアルを集中して受けていれば、受講1年半経過あたりで実ジョブ獲得までは持っていけたのではないかと推測しています。

 

もちろん、これが唯一の「成功への道」ではありません。ですが、ここに踏み込めなかったのは、「自分には無理だという思い込み」によるものです。

卒業生の目覚ましい活躍を見ても、残された貴重な「そこに至る軌跡」を見ても、その時は「私には無理だろう」と思っていました。

もっと言えば、1年間必死で時間を作って勉強してきて(この時は会社員でした)、さらに新しい分野の勉強を重ねることに抵抗があったのも事実です。

 

稼ぐにはニーズのある分野を狙う方がいいというのは理屈ではこの時もわかっていました。

それでも、バイオ系の明細書を読んでどの程度わからないのかを確認することもせず「無理」と決めつける。本当に「稼げる翻訳者を目指す」のならこのような考え方はしないはずです。

 

今思うと、この時は自分で翻訳者になると決めたのに、どこか「本気で翻訳で食べていく」ことをリアルな自分事として捉えられていませんでした。

私はもともと特に得意な分野や興味のある分野を持っていませんでした。

同じような方であれば、なおさら「ニーズのある分野」、言い換えれば「稼げる分野」を狙うべきです。

 

余談ですが、私は当初医療系には全く興味がなく、むしろあまりやりたくないと思っていました。

ですが、今では明細書の内容に興味を持って案件に取り組めています。これも講座でたびたび言われていることですが、やはり「得意になれば(評価を得られれば)好きになる」ものです。

 

失敗その2:しかるべき時に相談しなかったこと

重要な路線変更の時に、管理人さんに相談をせず突き進んだこと

おそらくこれが最大の失敗要因です。そして私はこのことに正規の受講期間を過ぎてから気づきました(それまでは、自分で自分をごまかしてこの問題を直視していませんでした)。

 

具体的には、英日特許翻訳から離れて中国語の産業翻訳と英日医療翻訳に方向転換したことです(受講1年半頃)。

なぜそのような方向転換をしたかというと、中国語についてはトライアルに合格すれば高確率で案件受注が見込めるチャンスを頂いたからで、英日医療翻訳については、中国語の医療翻訳で医療系を学習していることもあり相乗効果が見込めるのではないかと思ったことと、需要が大きい分野であることが主な理由でした。

 

ではなぜ相談しなかったのかというと、正直に書きますが「どんな重要な問題でも他人に相談できない」という性格上の問題があり、さらに「他人に説明できる程度に目標達成までの計画が練られていなかった(自分でも迷いがあった)ので突っ込まれるのが怖かった」からです。

本当に目標を達成したいのなら、プロである管理人さんに相談すべきなのは明らかです。

つまりこの時、私は自分のプライドやこれまでの生き方を目標達成よりも優先させてしまっていました。

 

この時に相談していたらどのようなアドバイスを頂けたかはわかりませんが、また違う結果だったかもしれません。

 

ここに書いた私の例のようにひどい人はそれほどいないかもしれませんが、相談をためらってしまうことはあるはずです。

特に、この講座では「わかりません。教えてください」という丸投げ質問はNGなので質問までのハードルが高く感じると思います。

 

ですが、プロになるために少なくないお金を投資して時間を捻出しているのですから、つまらないプライドは捨てて、仮にどうしても自分の中でもやもやしていて相談内容がまとまらなくても、怒られてもいいのでそれをそのままぶつけて指示を仰ぐべきです。

 

とにかく目標を達成するには何を優先すべきか常に考えろ。

これが、過去の自分に一番伝えたい言葉です。

 

失敗その3:学習の優先順位が付けられなかったこと(明細書を読む・訳す量が少なかったこと、リソースを分散させたこと)

プロの特許翻訳者として生計を立てていくためには何が必要かというと、当然「特許明細書をクライアントの求める水準(品質・スピード)で常に安定して翻訳できること」です。

 

そのためには明細書の内容を理解できること、それを正確に訳せることが必要です。

講座では、明細書の内容理解を助けるために化学・物理のビデオがありますが、その学習後はとにかく明細書の翻訳を念頭に置いた学習を進める必要があります(「対訳シリーズ」は自力翻訳前にどれか1シリーズはやっておく必要があると思います)。

 

具体的には、翻訳対象の分野の明細書を日本語で大量に(例えば30~50件)読んで、その分野における課題や解決方法をおおよそ把握できたら公開訳のある明細書を自力翻訳して差を比較することが必要です。

 

私は明らかに、日本語の明細書を読んだ数も、自力翻訳した数も足りていませんでした。

例えば、日英の特許翻訳で結果を出された方(会員109・公式サイトからメルマガ登録後に閲覧できる受講案内を参照ください)は、15ヶ月の間で60件ほどの明細書を自力翻訳された、と書かれています。

私はというと、2年終了時に明細書を自力翻訳した数は途中までのものを含めても15件ほどで(トライアルは含まず)、日本語の明細書を読んだ数は記録のあるもので200件にも到達していませんでした。

 

受講1年2ヶ月~4ヶ月の間に英日特許翻訳のトライアルには2社合格していましたが、その後依頼はなく、自分でも自分の訳質に対して自信が持てない状態でした。

依頼がなかったのは、トライアル合格分野と需要の関係もあるとは思いますが、おそらくはトライアル突破時のレベルがそれほど高くなかったからではないかと思います。そしてそれは、実際に明細書を読んで訳すという練習が足りていなかったことが主な要因であると考えています。

 

この反省を踏まえ、延長期間中の始めの3ヶ月ほどの学習期間で日本語の明細書を130件ほど読み、4件自力翻訳しました。

この時読んでいた明細書の内容と現在頂いている案件がかなりマッチしていることもあり、この時の蓄積が現在の実ジョブにも役立っています

 

では本来明細書を読んだり訳したりすべき時間、私が何をしていたのかというと、主に

・特許明細書を読んでいて疑問に思ったことの深掘り

・ブログ記事作成(ライティングスキルの向上と理解の定着を目標に)

などをしていました。

 

これらは長い目で見たら大切なことですが、目先「特許翻訳者として稼ぐ」ためには優先度は低いものです。

ブログも日々の学習の気づきや、特許明細書の要約や図解などの「特許翻訳者として稼ぐ」ことに直結するものであれば必要ですし時間を割くべきですが、私はそれ以外の記事に割く時間が多すぎました。

 

繰り返しますが、ゼロから安定稼働するまでには2年という期間はとても短いです。

 

講座では「特許翻訳者の次の一手」についてのビデオもたくさんあります。

特にブログを書いていると、次のビジネスについてなどの貴重なアドバイスをいろいろと頂けます。ですが、すべては翻訳者として安定稼働してからの話です。

 

器用な方やすでにある程度翻訳者としての立ち上げができている方であれば他ビジネスの立ち上げとの両立は可能かもしれません。

そうでない場合(私もこちらでした)、まず翻訳者として立ち上げることのみにフォーカスすべきだったと今振り返って思います。

 

失敗その4:自分の現在地と目標との差を正確に把握できていなかったこと

「プロになるまでどれくらいの勉強量が必要か」というのは誰しも疑問に思うところだと思います。

そして、自分と似たような環境・能力の人がどれくらいでプロになったかで、「おそらく自分もそのくらいでいけるのだろう」と考えます。

 

「翻訳にはどれくらいの語学力が必要か」ということも同じく皆考えることだと思います。

そして、TOEIC800点もあれば十分、と聞いて「私は一応900点超えているから大丈夫だな」と考えます。

 

この2つは私が考えていたことです。そして、この2つとも誤った考えでした。

 

受講後の当面の目標は「トライアルに合格すること」です。

講座では早い段階でトライアルを受けろ、と言われていますが、これはトライアルを受けてはじめて「トライアル合格レベルの実力と現時点の実力との差」がわかるからです。

 

その後の「トライアルに合格しても仕事が来ない」から「合格即案件受注」までレベルアップしたかどうかも、(公開訳との比較で自身のレベルアップを実感したとしても)実際にトライアルを受けて合格して案件を受注できるかどうかによってはじめてわかることです。

 

これらは、学習量(時間)では計測できません。

上に書いたように、同じ時間をかけたとしても、集中度、学習内容、学習方法によっても異なりますし、受講前の学習の蓄積によっても異なります。

 

そのため、「あの人は3000時間もかからずにプロになって稼働したのに、なぜ自分は同じ時間をかけてもトライアルにも合格しないのだろう」などと他者と比較してストレスをため込むのは最も愚かなことです(これは受講期間中の私です)。

 

やるべきことは、落ちたトライアルを冷静に分析してどこが足りないのかを見極めて補充して再挑戦することです。

もし、自分で差が見極められなければ管理人さんに指示を仰ぐべきです。

 

落ちたトライアルを見直す過程で、受講期間も残すところ2ヶ月程という段になって、私はようやく自分の英文解釈能力に穴があることに気づきました。

自分がTOEICでそこそこの点数を取れているのはひたすら問題集を解いて「試験に合格するための方法」を身につけたからということはわかっていました。

 

それでも、「まあ800点程度でもいいと言われているTOEICで900点取れていれば英語そのものの補強をする必要はないのでは」と、自分の本当の実力と求められる英語力との差を冷静に見つめることなく、「問題なし」と思い込んでいたのです。

そこから翻訳そのものの学習にも時間を割き(具体的には、主に「翻訳の布石と定石」(岡田信弘著)で学習しました)、英文法と内容の両面から実ジョブ中の解釈の難しい文章にも対処できるようになってきています。

 

講座でも耳にタコができるレベルで「逆算思考」の大切さが語られています。

自分が今どの地点にいて、目標までに何が足りないのか、そして後何日で目標に到達しなければならないのかが明確であれば、自然と迷走はしなくなるはずです。

 

以上の4点の失敗を回避すれば、この講座で学習している以上、講座受講期間内の成功にはかなり近づくのではないかと思います。

「目標を達成した後の最高の状態」の写真や言葉を目に見えるところに張り出したりして、とにかく目標を達成することだけを考えて、頑張ってください。