ミス対策

1/26 誤訳メモ2:difficult to be handled by and administrated to the patient

誤訳メモ1と同じ素材からです。

少し前に、3Dプリンタで医薬品を作製する方法に関する特許明細書を翻訳しました。

その際の翻訳ミスについて再度見直しをした記録です。

  

明細書の概要

原文:WO2018046642A1

公開訳: 2019-532921

概略:粉末に液体を噴射し、放射線により反応させ固化させることで造形物(医薬品)を作製する方法について。下記のMMJは液体射出装置(Multi Material Jet)。

 

訳文の検討

この文は先行技術について述べている部分です。

この前の文は、紙の上に医薬品有効成分を含む溶液をプリンティングする、という話です。

原文

However, such dosage forms are rather two dimensional which is difficult to be handled by and administrated to the patient compared to three dimensional tablets.

当初訳

しかし、このような投与剤形はどちらかと言えば二次元であり、三次元の錠剤と比較して扱いにくく患者へ投与しづらい

公開訳

しかしながら、そのような剤形はむしろ二次元であり、三次元の錠剤に比較し、患者にとっては取扱いや投与が困難である。

訳出当初考えたこと

何も考えていなかった。当初の見直し時にも違和感も感じていなかった。

「handled by and administrated to the patient」が、「handled by the patient 」と 「administrated to the patients」からなることに気づかなかった。

 

公開訳との比較時に考えたこと

公開訳を見て、自分の間違いに気づいた。

ただ、公開訳は「患者にとっては取扱いや投与が困難」となっており、「administrated to the patient」は「患者への投与」としたほうが明確ではないかと考え、「患者による取扱及び患者への投与が困難」と訂正した。

誤訳の原因と対策

原因

秀丸上で区切って、訳文を完成させてTradosに入れている。

秀丸ファイルを見ると、次のように区切られていた。

which is difficult to be handled by

and administrated to the patient compared to three dimensional tablets

「be handled by and administrated to the patient」がひとかたまりで見えておらず、byで区切ってしまったためにさらに見えなくなっていた。

 

対策

(1)byを秀丸上で強調表示させる

(2)byをJustRight!に登録して対象物(者)が明確になっているか確認するアラートをつける