CV(履歴書)。
それはプロの翻訳者を目指す私たちには、お見合いの釣書や婚活のプロフィールカード以上に大切な「自分の分身」です。
プロフィールカードならこう書けばモテる!みたいな書き方の例やテンプレートが溢れていますが、翻訳者のCVは「自分オリジナル」でなくてはなりません。
一体何をどう書いたらいいのか・・・
頭が痛くなりますね。
私もCVを書くのがものすごく苦手でした。
つい最近まで、苦手すぎてCVと向き合うだけでもれなく本当に発熱して寝込むくらい、苦手でした。
そんな中、先日CVを送った翻訳会社から「CVありがと!今回はトライアルいらないからとにかく登録してね」というメールが舞い込んできました。
ラブレター送ったら会ってもいないのにプロポーズされた。
そんなミラクルがなぜ起きたのか自分なりに分析してみたところ、自然と「今までとは違う目線」でCVを書いていたことに気が付きました。
今日はその気づきをシェアしたいと思います。
Contents
登録書類がいきなり送られてきた理由を分析してみる
私はメールを見た時、正直目を疑いました。
これは何かの罠に違いない。
そこで、なぜ送られてきたのか考えてみました。
理由1:猫の手も借りたい
この年度末。仕事に追われている方も多いのではないかと思います。
翻訳の案件も、この時期が1年の中で最も多いと言われています。
今の登録翻訳者さんだけでは仕事が回らない!
誰でもいいから「何となく使えそう」な人をまず確保して!悠長にトライアルしてる場合じゃない!
という殺気だったオフィスが想像できますね。
そんな中、山積みの応募書類から目に留まった人にとりあえず声をかけてみよう。
とにかくこの繁忙期を乗り切らないと。
そんな状況にあるのかもしれませんね。
理由2:そこそこ使えそうな猫の手に見えた
「猫の手」とは言っても、どんな猫でもウェルカム!ではないはずです。
「任せても大丈夫だろう」という何かを相手が感じる必要がありますね。
その判断材料になるのは、送ったCVのみです。(正確にはメールのやり取りなども含まれます)
そのCVから、「任せても大丈夫だろう」と思ってもらうには「とりあえず素人じゃないな、プロだな」と思わせる何かが必要ですね。
それは婚活で言えば、プロフィールカードを見て「あ、この人はまず悪い人じゃないだろう、一度会ってもいいかな」と思える何かでしょう。
それは例えば大学を卒業していて、定職についていて、ある程度の貯金があるなどです。
言い換えれば、条件面で「結婚しても問題ないかなと思えるレベル」を満たしているかどうかです。
翻訳者であれば、翻訳実績があって、翻訳環境が充実していて、どういうスキームで仕事をしているのかわかることが、最低限必要なのではないかなと思います。
理由3:相手の好みの「猫」だった
またまた婚活を例にあげます。
「この人は会ってもいいかも」と思う人、「是非お会いしたい!」と思う人。
違いはどこにあるのでしょうか。
大富豪だとか、高学歴だとか条件がめちゃくちゃいい!というのもあるかもしれませんね。
でも、基本的には「その人に惹かれる何か」があるはずです。
私がもし婚活中であれば、趣味の欄に「温泉」とか、好きなものに「猫(特に靴下猫)」なんて書いてあったら、会いたいと思う気持ちは絶対に高まります。
逆にいいなと思う人がいたとしたら、その人の好きなタイプや好きなことを調べて、自分がその「好きなタイプ」になるべく努力しますよね。
今回の応募先に対して、私は同じことをしました。
「こういう人がほしいんです」というメッセージに対して、自分のできる範囲で「相手の求める人」に合わせました。
これは、必ずしも翻訳会社のウェブサイトに「こういう人を求めてます」と書いてあるというわけではありません。
それでも、取引先、翻訳実績、会社のポリシーなどから読み取れる情報は多いです。
私はこのブログで何度か温泉やら猫の話をしています。
そういうところから「この人って温泉が好きなんだな」と読み取る感覚です。
もっと言えば、どうやら露天風呂が好きっぽいから、泉質どうこうよりもとにかく景色の良い温泉が好きなのかなと考えて、
「北海道の〇〇温泉行きませんか?すぐ目の前が海で景色がいいんですよ」と言われたら間違いなくついていってしまいます。
私は正直、そこまではできていません。
そして実際には「どんな猫でもいい、とにかく手を貸してくれ!」状態なのかもしれません。
ただ、「相手目線で考えて、相手にとって必要な人になる」という考え方はCVを作成する際にとてもとても大切なことです。
なぜ、相手目線のCVが書けるようになったのか
これは、自分自身まだまだなのを承知で書きます。
告白しますと、実はこれまで6社CVを送ってそのうち2社は音沙汰がないくらいの状況です。
それでも以前より、確実に「相手目線」を意識できるようになってきています。
その理由を2点、お話します。
理由1:「相手目線」でのCVの見せ方を徹底的に学んだ
私は今、レバレッジ特許翻訳講座で特許翻訳者となるべく勉強中です。
講座のコンテンツには、CVの書き方についてのビデオセミナーがたんまりと含まれています。
そしてビデオの中でも、これでもかというほど相手に合わせろという話が出てきます。
(念のためにですが、講座では「CVのテンプレート」は当然ながら用意されていません。あくまで「CVの書き方や考え方」について学ぶのみです)
受講当初の「CVって何?」な状態から一通りのCVが書けるようになるには、まず独学では難しかったと思います。
相手がどこを見るのか、知りたいことは何かすらわからなかったのですから。
理由2:学習を進めたことで「見せ方」がわかってきた
実は、私は講座のCV関連のビデオをあらかた全部見ても、当初うまくCVが書けませんでした。
書くべきこと、注意すべきこともわかっていた(つもり)でしたが、それを自分自身のCVにうまく落とし込めずにいました。
変化を感じたのは、今年に入ってからくらいです。
その変化とは、得意分野の見せ方がわかってきて、相手に応じて組み直すということができるようになってきたということです。
半導体のリソグラフィ工程を例に挙げます。
以前はフォトレジストやエッチング装置など、その工程で使用される材料や機械などで自分が理解できるものをとにかく羅列していました。
最近は、例えば液晶ディスプレイなどリソグラフィ技術を使用して製造される製品や、それに関連する製品を相手に合わせて見せています。
これができるようになったのは、「技術の内容がある程度わかってきたから」に他なりません。
なので、特に講座受講生の方でどうもCV(特に得意分野)がうまく書けないと思っている方にお伝えしたいのですが、大丈夫です。
学習を進めれば、「そういうことか」とわかってくると思います。
CV書けずに寝込んでた人が言ってますから、信じてください。
最近では、ビデオセミナー2953号(CVにおける得意分野の見せ方)がとても参考になると思うのですが、半年前の自分が「参考になった!」と思えたかどうか、とてもあやしいです。
少し余談ながら、同じ情報、アドバイスを得たとしても刺さるか刺さらないかは、受け手側が「受け入れるタイミングにあるかどうか」によるんじゃないかな、と最近よく思います。
まとめ:「相手目線」を習慣化しよう
どんなに条件が良くても、相手に合わせても、お付き合いするかどうかは相手が決めることです。
正直「うーん、何となくちょっと・・・」という理由にならない理由で却下されることもあるでしょう。
相手のことを考えてベストを尽くしてもだめなら、縁がなかったと思うしかないですよね。
逆に、思いがけずアプローチを受けたら、チャンスだと思えば乗ってみましょう。
柔軟に相手に合わせていくことって、目の前のことにいっぱいいっぱいになっているとついつい忘れがちです。
私は目の前のキーボードに「お客様ファースト」と書いたふせんを貼っています。
ふせんがなくても「相手目線で考える」ことが無意識にできるようになるには、毎日まずは意識して取り組むことが大切ですね。
今日もふせんをみながらこの記事を書きました。
少しでもお役に立てば幸いです。