メディカル学習帳

グレープフルーツジュースを飲んだら薬が飲めないのはなぜ?

「GFJとの相互作用に注意すること」

薬について勉強していたらそんな一文に出会いました。

複数の薬を一度に服用する場合、お互いの力を弱めてしまう、あるいは逆に強くなり過ぎて副作用が生じてしまうことを、「薬物相互作用」といいます。

 

GFJとやらも薬の効果に影響する物質のようです。

いろんな所に出てきます。どんな薬物なんでしょう。

・・・と調べたら、

GFJ = グレープフルーツジュース でした。

 

いやそれ略語にするの?と思いつつ、

なぜグレープフルーツジュースで薬物相互作用が起こるのか、調べてみました。

 

GFJで起こる相互作用

・・・確かに、グレープフルーツジュースと書くよりGFJの方が楽です。

今後、この記事もGFJと書きます。

 

GFJは様々な薬と相互作用を起こすことが知られていますが、特に有名なのは血圧降下薬との相互作用です。

カルシウム拮抗剤は血管を広げることで血圧を下げる、代表的な血圧降下薬です。

GFJを摂取してから服用すると、この薬の効き目が強く出過ぎて、必要以上に血圧が下がってしまいます。

 

ではなぜ、GFJを服用すると降圧効果が強く出過ぎてしまうのでしょうか。

薬の取扱説明書である「添付文書」にそのヒントがありました。

 

こちらはカルシウム拮抗剤のひとつ、商品名「カルブロック」の添付文書です。

このように、併用注意という欄があり薬剤名がずらずら記載されています。

この下の方に・・・いました!GFJ。

確かに「降圧作用が増強される」と書かれていますね。

そしてその発生の仕組みは、「GFJの成分がCYP3A4による本剤の代謝を阻害し、クリアランスを低下させるため」と書かれています。

どういうことでしょうか。次で詳しくみていきましょう。

 

GFJと代謝の関係

「GFJの成分がCYP3A4による本剤の代謝を阻害し、クリアランスを低下させる」とはどういうことかを考えるには、

薬(経口薬とします)がどうやって作用するか知っておく必要があります。

 

このあたりは以前の記事(早く効く薬は何が違うの?)で少しだけお話しました。

ざっくりいうと、胃で溶けて、小腸で吸収されて、肝臓などで代謝を受け、代謝されなかった薬物が血液に入り全身を巡り作用するという流れになります。

 

(出典:日本臨床薬理学会

 

代謝は、主に肝臓に存在する「薬物代謝酵素」によって起こる反応です。

薬剤は基本的に脂溶性でそのままでは水に溶けません。

「薬物代謝酵素」は薬剤を酸化させて水に溶けやすい状態にして、薬剤の体外への排出を促します。

ですので代謝されるということは、薬効成分を失うことになります。

そうすると同じ用量でも、多く代謝される薬剤は血液に入る量が少なくなります。

 

薬の効き目は基本的には血中濃度に依存するため、薬剤が血液に入る量が少なくなり、血中濃度が下がれば効き目が悪くなります。

 

ここで、再度GFJの効果について見てみましょう。

「GFJの成分がCYP3A4による本剤の代謝を阻害し、クリアランスを低下させる」でしたね。

CYP3A4は代表的な薬物活性酵素です。

薬物代謝酵素の多くは肝臓に分布していますが、CYP3A4は小腸粘膜にも存在しています。

 

GFJによってCYP3A4は通常通りの代謝ができなくなり、より多くの薬剤が吸収され、肝臓を通過して血液に入ることになります。

結果として、血中濃度が高くなり薬の効き目が通常より出やすくなる、ということですね。

 

最後の「クリアランスを低下させる」のクリアランスは、「薬物を体内から排泄する能力」のことを指しています。

「代謝によって排泄しやすい形に変わる薬剤」が減るのですから、排泄する能力も低下するといえますね。

 

GFJによる影響はどれくらいか

GFJが薬物の作用に影響をもたらすことはわかりました。

では、実際どのくらいの影響が出るのでしょうか。

 

これについても、先ほどの商品名「カルブロック」の添付文書を用いて考えてみましょう。

GFJとともにこの薬剤を摂取した場合と、水で摂取した場合との血中濃度の変化の違いから判断します。

 

上のグラフからは、GFJで摂取した場合、水で摂取するよりも薬剤の血中濃度が高く、かつ長い時間、濃度の高い状態が維持されていることがわかります。

下の数字を見てみますと、確かにCmax(最高血中濃度)とAUC(血中濃度曲線化面積:体内に取り込まれた薬の量)はそれぞれ2倍以上、3倍以上になっています。

 

また、もう一つ注意すべき点があります。

グラフで見る通り、一番濃度が高くなる部分(Tmax:最高血中濃度到達時間)は投与から4時間後です。

そこから4時間経った投与から8時間後でも、水で摂取した時より高い濃度を維持し、24時間後もまだ血中に薬剤が存在しています。

薬剤の種類によっては、コップ1杯のGFJで3~4日、作用が続くこともあります。

ですので、GFJとの薬物相互作用を引き起こす薬剤を摂取する前にはGFJを飲まないように注意する必要があります。

 

まとめ

GFJ(グレープフルーツジュース)には薬物代謝酵素の働きを阻害する物質が含まれています。

そのため、同量の薬剤を摂取しても、血中濃度が上がりやすく薬が効き過ぎる状態になってしまいます。

 

GFJ(グレープフルーツジュース)との薬物相互効果が出やすい代表的な薬剤は、血圧降圧薬です。

CYP3A4という薬物代謝酵素はその他にも様々な薬剤との相互作用をもたらします。

薬を処方されるときに薬剤師さんからそんな話を聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

不安な方は一度薬剤師さんに相談してみてください。

 

 

早く効く薬は何が違うの?こんにちは。 最近ちょっとだけ薬学をかじり始めたasaです。 頭痛に早く効く!なんてキャッチフレーズの薬、ありますよね。 私も...

POSTED COMMENT

  1. moncana より:

    GFJがグレープフルーツジュースとは、初めて知りました。
    カナダ在住時、オレンジジュースのことを「OJ(オージェイ)」と呼んでいる人が多かったのは覚えているんですが、GFJも存在するとは!

    グレープフルーツは大好きですが、薬と併用して副作用が出てしまうといけないので、今以上に注意したいと思います。

    とてもわかりやすい解説で、勉強になりました。
    ありがとうございました。

    • asa より:

      moncanaさん

      コメントありがとうございます!

      OJ、いいですね~。
      是非moncanaさん家でGFJを流行らせてください。

      GFJは全ての薬に影響があるわけではないですが、
      他の薬との相互作用より影響が強く出ることもあるみたいで、
      なかなかデンジャラスです。

      話変わって、moncanaさんのカラーペン愛には脱帽です。
      4色ペンを持ちつつ「取り合えず今出ている色」で書いてしまいがちなので、
      見習わせてもらいます!

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