学習記録

DDS関連の明細書のメモ

1/23 読んだ明細書 

今日もDDS関連の特許を中心に10件。

標的認識型(抗がん剤など)、血液脳関門をどのように通らせるか、など。

特許の詳細

1件目:ナノサイズ高分子ミセル型DDS製剤

【公開番号】特開2018-024590

【出願人】日本化薬株式会社

【発明の名称】標的認識型組成物及びその用途

【発明の概要】
ナノサイズの高分子ミセルに標的結合部位を有するPEG鎖を含む組成物により、腫瘍標的DDSの効果を高める

【課題】
従来の高分子ミセル型のDDS製剤は、内包薬剤の血中滞留性が向上するため骨髄などの正常組織への副作用を発現させてしまうことがあった。そのため正常組織への曝露を抑制しつつ、標的部位への送達効果を高めるDDS製剤が求められていた。

【解決策】
下記(A)(B)を含有するDDS製剤の提供
(A)疎水性ポリマーと親水性ポリマーからなるブロックポリマー
(B)標的結合部位がPEG部分に結合したPEG脂質
粒子径の小さい高分子ミセルを作製でき、それにより従来よりDDS製剤としての有効性と安全性を高められる。

 

2件目:結晶多形を利用し物性を制御した製剤

【公開番号】特開2019-59685

【出願人】日本化薬株式会社

【発明の名称】エルロチニブを有効成分とする医薬錠剤

【発明の概要】抗腫瘍薬(選択的チロシンキナーゼ阻害剤)であるエルロチニブの中性領域で溶出性及び崩壊性を高める。

【課題】
従来技術におけるエルロチニブ塩酸塩は、酸性環境では溶出性が良好であったが、中性環境(口腔、消化管など)では溶出性に乏しかった。中性環境でも溶出性が高く、また少ない水で服用できるよう崩壊性を高めたエルロチニブ含有錠剤が求められていた。

【解決策】
エルロチニブの結晶多形を利用する。結晶多形形とは、同じ成分でも配置が若干ことなることで物性が変わったもの。
エルロチニブにはA型結晶多形、B型結晶多形などがあり、この2つの型の含有量を調整したエルロチニブを用いて製錠することにより、所望の効果をもつ錠剤が得られる。

 

3件目:徐放化製剤

【公開番号】特開2019-26583

【出願人】日本化薬株式会社

【発明の名称】エルロチニブを有効成分とする医薬錠剤及びその製造方法

【発明の概要】
徐放化し、有効成分の急激な溶出を防ぐ

【課題】
従来の方法(崩壊剤の変更)では、本剤の初期溶出の抑制を抑えられなかった。

【解決策】
規定のアミノ基修飾高分子添加剤を素錠に添加し、製錠する。

*初期溶出の抑制が必要な理由が記載されていない。抗がん剤用途であることから、発作抑制薬などのように「すぐ効く」要件は求められておらず、必要な場所に届くまでに薬効成分が溶出してしまうとロスになるため、と考える。

4件目:血液脳関門を超えて送達する方法

【公開番号】特開2017-202976

【出願人】公立大学法人首都大学東京

【発明の名称】ドラッグデリバリー用脂質単層被覆型ナノ粒子

【発明の概要】表面に特定のターゲット分子を結合し、血液脳関門を通過し神経保護のための物質を送達できる薬剤。

【課題】
血液脳関門を超えて送達できるキャリアが少なかった。
この目的を経鼻投与で達成できる最適な粒子についての研究はなかった。
薬物と同時に遺伝子を送達し、エピジェネティックな疾患に対応できるキャリアの研究もされていなかった。

【解決策】
コアシェル構造。薬剤は生分解性ポリマーとともにコアに含まれ、PEG脂質でコアをコートし、その表面にターゲティング分子を結合させている。

実施例で挙げられているのはラクトフェリンというターゲッティング分子。
ラクトフェリンは鉄を取り込む性質がある。
鉄輸送蛋白(トランスフェリン)と同様に、ラクトフェリンも血液脳関門を突破できる。
http://www.ec-lactoferrin.org/lactoferrin/PDF/10-4.pdf
それにより、ラクトフェリンの結合したナノ粒子も脳内に入ることができ、薬剤を送達できる。

5件目:血液脳関門を広げる方法

【公開番号】特開2019-110982

【出願人】テルモ株式会社

【発明の名称】処置方法

【発明の概要】超音波による刺激などによって血液脳関門を広げる

【課題】
アルツハイマー病の治療は、アミロイドβを脳血管から排出することが有効であるが、血液脳関門によって排出が阻害される。

【解決策】
カテーテルに搭載した超音波照射装置により血液脳関門に超音波を照射、同時に患者の頭部に外部から電気刺激を加えて血液脳関門を広げる。

*箸休め的な明細書。
*どんな方法で広げるのかと思ったらかなり力業だった。
*外部の電気刺激に代えて、アロマや室温の変化などでもよい。

6件目:グルコースで修飾して脳へ送達させる方法

【公開番号】特開2019-194220

【出願人】東京大学

【発明の名称】
薬剤送達用のキャリア、コンジュゲートおよびこれらを含んでなる組成物並びにこれらの投与方法

【発明の概要】
グルコースが血液脳関門を通過する特性を利用して、薬剤を内包したミセルの表面をグルコースで表面修飾することで、薬剤を脳へ送達させる。

【課題】
グルコースの特性を利用して抗体をグリコシル化して血液脳関門を通過させるという方法はあったが、効果は限定的であった。

【解決策】
ミセルの表面をグルコース、またはグルコーストランスポーターと結合できる分子で修飾する。
投与対象を投与前に低血糖状態にし、血糖値を上昇させる(血糖値を操作する)とより効果的である。

7件目:エンドサイトーシスによる取り込みを増強する方法

【公開番号】WO2018/101477

【出願人】埼玉大学

【発明の名称】薬物送達系用エンドサイトーシス増強剤

【発明の概要】
カルボシランデンドリマーから形成されたミセルに蛍光タンパク質を担持させることによって、エンドサイトーシスによる取り込みが増強される。

【課題】
(1)従来のカルボシランデンドリマーで形成されたミセルの発光強度は弱かった。
(2)投与された薬剤の取り込みを高めるにはエンドサイトーシス(細胞による細胞外物質の取り込み)を高める必要があるが、これまでミセルの安定性を損なわず、エンドサイトーシスを増強できる技術はなかった。

【解決策】
カルボシランデンドリマーから形成されたミセルに蛍光タンパク質を担持させることによって、蛍光強度が上がり、エンドサイトーシスも増強される。

8件目:神経膠腫の治療剤

【公開番号】特開2019-94299

【出願人】第一三共株式会社

【発明の名称】アルキル化剤抵抗性のがんの治療剤

【発明の概要】神経膠腫の治療薬。アルキル化剤であるテモゾロミド抵抗性の患者に対する新規治療薬の提供。

【課題】
神経膠腫は脳を構成している神経膠細胞が腫瘍化したもので、薬剤は血液脳関門を通過できるものに限られる。そのため選択肢が元々少ない。ほぼ唯一の治療薬がテモゾロミドだが、継続投与により抵抗性を持つ(効かなくなる)ことがある。
そのため、テモゾロミド抵抗性に対しても効果のある薬剤が求められていた。

【解決策】
変異型IDH1阻害剤の提供。
テモゾロミド抵抗性にも腫瘍縮小効果が認められた。

IDH1(イソクエン酸デヒドロゲナーゼ)は酵素の一種で、神経膠腫患者に遺伝子変異が多く認められる。

9件目:白金ナノ粒子を付着させた抗腫瘍薬

【公開番号】特開2019-210219

【出願人】日鉄ケミカル&マテリアル株式会社

【発明の名称】
抗腫瘍剤、がんの治療及び/又は予防のための医薬組成物

【発明の概要】
生体適合性を有する樹脂粒子の表面・内部に複数の白金ナノ粒子を固定することによって、他の白金系抗がん剤に見られる副作用がなく、抗腫瘍効果が持続する薬剤を提供する。

【課題】
白金系抗がん剤には腎毒性、神経毒性などの副作用が見られる。
そのため、正常組織への影響を軽減できるDDSが求められていた。

【解決策】
生体適合性を有する樹脂粒子の表面・内部に白金ナノ粒子を固定する。
白金ナノ粒子は樹脂粒子の内部にも存在し、表面に存在するものも樹脂粒子に半分埋まっているもの、ほぼ付着した状態のものなど様々であり、これらがそれぞれ異なった薬物放出性を示す。
また、樹脂粒子は耐久性や安定性が高く、長期にわたって腫瘍細胞近傍にとどまるため、抗腫瘍効果も持続する。

10件目:抗HER2抗体+抗がん剤の抗体-薬物複合体

【公開番号】特開2019-206491

【出願人】国立研究開発法人理化学研究所

【発明の名称】
乳がんまたは胃がんの治療のための抗体-薬物複合体

【発明の概要】
抗HER2抗体にカテプシンで切断されるリンカーを介して抗がん剤が結合している抗体-薬物複合体(ADC)の提供

【課題】
(一部のみ記載)
抗体の糖鎖構造が不均一のため得られた薬物の活性が不均一であった。

【解決策】
抗HER2抗体にカテプシン切断型リンカーを有するADCの提供。
細胞内にADCごと侵入後、がん細胞内に豊富に存在するカテプシンにより効率的にリンカーが切断され、薬剤ががん細胞内に放出される。

*課題と解決策がちぐはぐだが、抗HER2抗体+抗がん剤については背景技術で触れられていない。

*糖鎖構造については、一度糖鎖を切断してから均一なものを付加させることで均一化させている。

*ADCや抗体医薬は次のテーマの予定。

明日も10件ほど読んで、対訳収集の準備に入ります。

  

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