日々の学習記録

1/26 読んだ明細書のメモ(DDS関連)

読んだ明細書のメモです。  

1/26 読んだ明細書 5件

1件目:活性成分が腫瘍組織で速やかに放出される抗腫瘍剤

【公開番号】特開2016-113374

【出願人】日本合成化学工業株式会社

【発明の名称】抗腫瘍剤

【発明の概要】
高分子と結合した抗腫瘍剤が腫瘍組織で容易に結合が開裂することで、より効果的に腫瘍組織へ薬物を送達でき、副作用を抑制できる。

【課題】
EPR効果(正常細胞を通過できない高分子が、高腫瘍細胞の血管細胞の隙間から進入できること)を利用した薬剤送達方法はこれまでもあったが、薬剤と高分子の結合力が強く、腫瘍組織に到達しても切断されにくかった。
また、高分子と抗腫瘍剤の合成ルートも複雑であった。

【解決策】
高分子にPVA(ポリビニルアルコール)を用い、開裂しやすいイミン結合により結合させることで、腫瘍組織到達後速やかに結合が切断される薬剤を提供する。

2件目:核酸医薬用リポソームの製造方法

【公開番号】特開2016-023148 / 特開2018-016642(左記の分割分)

【出願人】富士フイルム株式会社

【発明の名称】脂質粒子の製造法および脂質粒子を有する核酸送達キャリア

【発明の概要】
内包率の高いリポソームの製造方法。核酸医薬に応用可能。

【課題】
核酸医薬はキャリア(リポソームなど)を用いて送達される。
これまでの核酸医薬のキャリアは内包率(製造時の親水性物質がどれだけリポソームに保持されているか)が十分ではなかった。
そのため、内包率の高いキャリアが求められている。

【解決策】
リポソームの製造工程を改善。コアセルベーション(2つの相に分離する)方法。油相を加熱後、核酸を含む水相と混合して冷却し自己組織化することで、内包率の高いリポソームを得ることができる。

 

3件目:PEG化インターフェロンβの抗腫瘍剤

【公開番号】特開2017-100946

【出願人】東レ株式会社

【発明の名称】悪液質の治療剤又は予防剤

【発明の概要】
ペグ化インターフェロンを用いた悪液質(特にがん悪液質)を治療又は予防する薬剤を提供する。

*悪液質とは、慢性消耗性疾患の症状(筋力低下、栄養不良など)の状態を指す用語。

【課題】
悪液質の治療は従来困難であった。
-栄養補給を行うとかえって悪性腫瘍が増悪する
-食欲刺激剤では効果が限定的
-ステロイド系抗炎症薬は副作用が強く長期的な使用が困難

【解決策】
PEGと共有結合したインターフェロンβにより、血中半減期の長い、悪質液の治療・予防に効果的な薬剤を提供できる。

4件目:BRAF阻害剤耐性メラノーマに対する治療薬

【公開番号】特開2016-193848

【出願人】東レ株式会社

【発明の名称】BRAF阻害剤耐性メラノーマの治療剤及び予防剤

【発明の概要】
BRAF阻害剤耐性を獲得したメラノーマに有効な、インターフェロンβ含有薬剤の提供

【課題】
メラノーマにはBRAFという酵素の特定のアミノ酸配列に変異(V600変異)が生じる可能性が高く、BRAF阻害剤が有効。
しかし、BRAF阻害剤耐性を持つメラノーマが出現し、BRAF阻害剤の長期投与を受けた患者のほとんどがメラノーマを再発する。
そのため、BRAF阻害剤に対する耐性を獲得したメラノーマにも有効な治療薬、及び予防剤が必要とされていた。

【解決策】
インターフェロンβとBRAF阻害剤を有効成分として含有する薬剤の提供。
PEGとの共有結合は血中半減期を長くできるので、より好ましい。

 

5件目:体温で疎水性に変化する温度応答性ミセル

【公開番号】特開2019-38787

【出願人】川崎市産業振興財団

【発明の名称】温度応答性ミセルおよびその用途

【発明の概要】
シェル部に温度が上昇すると親水性から疎水性に変わる共重合体を用い、コア部が核酸とカチオン性共重合体からなる温度応答性ミセルによって、分散性を保ちつつ効果的に細胞へ核酸を送達する方法。

【課題】
核酸は体内で吸収されやすく、細胞に取り込まれにくい。
表面が親水性のミセルは細胞膜(脂質二重層)に取り込まれにくい。
表面が疎水性であると分散性等の問題が生じる。
従来の熱応答性ミセルは、体内投与後に外部から加熱することで変化させていたため、熱に弱い器官には適用不可であった。

上記の問題を克服した新しい薬物送達方法が求められていた。

【解決策】
体温に応答して親水性から疎水性へ変化するポリマーで表面を修飾したミセルによって上記の問題を克服した。
保存時には疎水性のため分散性に優れ、体内で疎水性に変化することで細胞に取り込まれやすくなる。