ミス対策

2/9誤訳メモ:図の読解 / 係り受け / formulationの解釈

今回も、以前の対訳学習(pH応答性ミセルを用いたDDS)からの記録です。

下記の記事で取り上げたのと同様の、図面の説明の一文です。

誤訳メモ:係り受け Cytotoxic activity of combination use of A and B明細書を翻訳していた際のミスを取り上げ、その対策を考えます。 今回も、題材は以前のもの(例えば、明細書の翻訳ミスからpH応答性ミセルの...

 

ミスの概要

<原文>

Figure 14 illustrates the viability of MCF-7 breast cancer cells treated with small molecule drugs (A) and micelles (B) through different regimen schedules and combination formulation at normothermia (37 °C).

<当初訳>

図14は、正常体温(37℃)における、異なる投与計画により(A)低分子薬及び(B)ミセル並びに組み合わせ製剤で処理したMCF-7乳癌細胞の生存率を示す。

<公開訳>

小型分子薬物(A)およびミセル(B)を用いて異なる投与スケジュールおよび併用処方により、正常体温(37℃)において処理したMCF-7乳癌細胞の生存率を示すグラフである。

図14はこちらです(図上をクリックすると若干拡大します)。

それぞれ異なる条件で、薬剤に曝露した際の細胞の生存率について示した図です。

D、Gは薬剤の名前で、Mがついているのがミセル内包型の薬剤です。

薬剤単独(図14A)の場合、併用した場合、併用の場合同時投与か24時間空けてからの投与か、で分かれています(ミセル内包型・図14Bも同様です)。

 

係り受けを間違えています。

Figure 14 illustrates the viability of MCF-7 breast cancer cells

treated with small molecule drugs (A) and micelles (B) / 

through different regimen schedules and combination formulation

at normothermia (37 °C). 

と切るべきところを、

 

Figure 14 illustrates the viability of MCF-7 breast cancer cells

treated with small molecule drugs (A) and micelles (B) through different regimen schedules / 

and combination formulation 

at normothermia (37 °C). 

と区切ってしまっています。

 

さらに、combination formulationのformulationを「製剤」と訳しています(「ミスの原因」で述べますが、この解釈のミスが区切りのミスにつながりました)。

 

ミスの原因

図を読み取ろうとしなかったこと(図と原文を結びつけて考えなかったこと)が原因です。

その結果、

combination formulationの「formulation」を「製剤」と思いこみ、molecule drugs (A) and micelles (B) と formulationを並列の存在として捉えており、その間違いに気づきませんでした。

そして、

「different regimen schedules」 と「 combination formulation」がそれぞれ投与の条件を指している(=ここのformulationは「処方」である)と読み取れませんでした。

 

今回も、図は見ていました。DやらGが何を指すのかも確認していました。ただ、それと本文の内容を紐付けて見ていませんでした。

 

ミスの対策

  1. 「図の簡単な説明」は実施例を訳した後に訳す(背景技術の後に訳していた)
  2. 図が何を表しているのか(図上の記号の意味だけでなく)本文と紐付けて説明できるレベルで理解する→「翻訳スキーム」の、図面の翻訳時の注意事項に組み込む
  3. formulationは要注意単語としてJustRight!に登録する