ミス対策

2/9誤訳メモ: カンマで挟まれた要素を含んだ係り受け

今回も、以前の対訳学習(pH応答性ミセルを用いたDDS)からの記録です。

この枠の部分を追記しています(2/10) 

 

ミスの概要

背景技術からの一文です。

抗癌剤を併用投与する場合、薬物相互作用による副作用を発現する場合があるので、2種類以上の薬物を安全に送達できる薬物送達システムが求められている、という文脈です。

この文の前の文は、

Accordingly, there is a need for novel compounds, compositions, and methods for controlled combination chemotherapy.

(したがって、制御された併用化学療法のための新規な化合物、組成物および方法が求められている。)

です。

原文

There is also a need for novel compositions, such as micelle bioconjugates, and methods for mediating prodrug delivery to cells.

当初訳

ミセルバイオコンジュゲートなどの新規な組成物及びプロドラッグの細胞への送達を媒介する方法もまた求められている。

公開訳

また、プロドラッグの細胞への送達を媒介するための新規な組成物、すなわち、ミセルバイオコンジュゲート等、および方法も求められている。

 

訳例(ビデオセミナー3426号より)

細胞へのプロドラッグ送達を媒介するためには、ミセルバイオコンジュゲートなどの新規組成物及び方法もまた求められている。

 

「for mediating prodrug delivery to cells」が方法のみにかかっていると見るか、新規な組成物及び方法の双方にかかっていると見るかの違いです。

公開訳を見た時にどちらの解釈が正しいのかと一瞬考えました。

プロドラッグ(体内で代謝されてから薬効を示す薬剤)が必要な場所で代謝され、取り込まれるためには送達方法だけではなく、当然その組成物そのものの構造も重要になると考えられます。

としたら、やはり「for mediating prodrug delivery to cells」は組成物と方法の双方にかかっているとみるのが正しいと判断しました。

 

ミスの原因

上記のように考えることなくカンマで文章を切っていたため、カンマ以下の「and methods for mediating prodrug delivery to cells」でひとまとまりとして見ていました。

そのため、「novel composition」にもかかっていると気づきませんでした。

2/10追記:

上記は原因ではなく、ミスの原因を言い換えただけでした。

文の意味を理解して訳していなかったのが原因です。

 

訳出当初、ミセルバイオコンジュゲート、プロドラッグ、それぞれ言葉の意味だけ知っている状態で、この文章が具体的に(例を挙げれば)何を指しているのかを理解していませんでした。

バイオコンジュゲートは、生体分子と機能分子が結合してできた複合体を指します。明細書中には、薬剤として核酸、タンパク質、脂質なども挙げられています。

ミセルにそれらのバイオ医薬品を内包させたものが、ミセルバイオコンジュゲートと考えられます。

 

プロドラッグは、体内で代謝されてから薬効を示す薬剤のことを指しています。ミセルに内包させて細胞に送達させ薬効が発揮されます。

この文章の上の背景技術部分では、抗腫瘍薬の話をしているので、この細胞は、腫瘍細胞と考えられます。

簡単に図にすると、下記の通りです。

血液中ではミセルに守られているため薬理作用を示しませんが、腫瘍細胞内部では、この明細書においては腫瘍細胞のpHが血液中より低くなっていることから活性かされ、薬理作用を示します。

 

ミスの対策

(1)for に関して、係り受けが正確になっているか確認する癖がつくまで、秀丸上の強調表示を「行の強調表示」にして目立たせる。

 

(2)カンマで区切られている補足要素については一旦脇において考える。

There is also a need for novel compositions,

(such as micelle bioconjugates,)

and methods for mediating prodrug delivery to cells.

 

以下のような文章であったとしたら、間違える確率は下がります(forがどこまでかかっているか考えるためです)。

There is also a need for novel compositions and methods for mediating prodrug delivery to cells.

2/10追記:

文章を図解して説明できるレベルで理解すること。理解できているかどうかのチェックポイントを設ける。