読書

PDCAを回すことは、らせん階段を登ること:「一生食えるプロのPDCA」

PDCAって皆さん聞いたことがあると思います。

では、PDCAとは一言でいうと何でしょうか。

 

少し前に、「一生食えるプロのPDCA」という本を読みました。

私はこの本を読んで、それは

「自己成長というらせん階段を登る方法」だと思いました。

 

今日は私が3週間近くこの本の内容の一部を実践して得たものとともに、

PDCAとらせん階段の関係、とくに自己肯定感との関係についてお話しします。

 

1:「自己肯定感」とPDCA

ところでこの本・・・

「コンサル時代の4倍速で所得を倍増させた私の方法」

「一生食えるプロのPDCA」

 

タイトルとサブタイトル、かなりガンガン攻めてますよね。

コンサルタントって、もともと脳の体力がすさまじくて、常に論理的に考えていて、自己肯定感にあふれている・・・という私のコンサルタントに対するイメージそのままな方なんだろうな、と表紙を見て思いました。

 

ところが、冒頭の次の一文を読んだ時、私は著者の清水久三子さんに親近感を覚えました。

なぜなら、「私が書いたっけ?」と思うほど、今の私そのままだったからです。

「かつてPDCAが身についていなかった私は、漠然とした不安や不満を抱え、仕事で失敗すると「なんて自分はダメなんだ・・・」とよく落ち込んでいました。自己肯定感(自分の価値を信じる感覚)も自己効力感(自分は役に立つことができるという感覚)も、ともに低かったのです。

(「一生食えるプロのPDCA」 p.4) 

 

今はバリバリプレゼンのセミナーをされている方も、そんな頃があったんだ。

それがPDCAの手法を身につけることで、マインドセット(物事への向き合い方)まで変えてしまうなんて。

これは是非とも、身につけねば。

 

PDCA、それぞれの過程でそれぞれ大切なポイントがあり、本の中では実践に落とし込めるよう、詳細に説明がされています。

この本は本当に、1500円でいいの?というくらいの価値があります。

学んだこと全てをお話すると10000文字を確実に超えてしまいそうなので、今回は、「自己肯定感、自己効力感を高めていくためのPDCA」に焦点を当ててお話します。

 

2:「反省」と「内省」の違い

自己肯定感を高めるPDCAで一番のポイントとなるのは、「C」の部分。

つまり振り返りです。

実際は、C (Check)とA (Action)は緊密に連動しています。

正しい振り返りの手法を身につければ、自然と成長へつながる行動がとれるからですね。

 

では、「正しい振り返りの手法」って、一体何でしょうか。

それを読み解くキーワードが「内省」です。

 

2-1: サルでもできる反省を繰り返していた頃

私は今、レバレッジ特許翻訳講座で翻訳者になるべく、そして自分で稼ぐ力を身につけるべく勉強中です。

講座を受講して、1年4ヶ月ほどになります。

その間、毎週、1週間の振り返りをしていました。

そして、できなかったこと・失敗したことについては「失敗ノート」に記入し、なぜできなかったんだろう、次はどうしたらいいんだろう、と考えていました。

 

これだけ見たら、「ちゃんと”振り返り”してるじゃないか」と思われるかもしれません。

ただ、私の「振り返り」の内容はこんな感じでした。

  • 1週間の振り返りで「改善すべき点」を挙げても、それに対して「次は意識する」レベルの振り返りしかしていない
  • 具体的な「改善方法」を挙げても、それをちゃんと実行したかどうか、実行してどうだったかの振り返りができていない
  • 「反省ノート」にはできていない自分を責め立てる言葉を書き連ねて、具体的な解決策を見いだせずに、とりあえず気分だけ落ち着かせる

この状態は、振り返りではなくて、ただ「できていないこと」を列挙するだけの反省です。

「反省」ではPDCAは回りません。

なぜなら、そこに「次につながる学び」がないからです。

 

私は何度も同じ間違いをして、そのたびに「自分はなんてダメなんだ」という「反省」を繰り返し、結果として自分自身で自己肯定感をゴリゴリ下げていました。

「次につながる学び」が得られなければ、同じ人間ですから、同じミスをするのも当然です。

 

ということは、「次につながる学び」が得られるような「振り返り」を行えばよいのです。

それが、「内省」です。

 

2-2: 内省とは何か

本から引用します。

内省は自分と向き合い、自分の行動を振り返って気づきを得て、「どうすればいいのか」と未来に結びつけるための考え方です。(p.152) 

この「内省」の過程で大切だと思うことを2点、挙げます。

 

「行動」にフォーカスして記録する

振り返るためにできるだけ細かく記録をしておくのが大切です。

特に、いつ、どういう状況でどのように行動したらその結果になったのか、を分けて記録しておくと、後々改善策を考える時に役に立ちます。

そして、「なんでできないんだろう、ダメだな」と「できていないこと」そのものにフォーカスせず、あくまでも行動の記録として、そしてその時に思ったこと・気づきを書いておきます。

自分の観察日記をつけるような感覚ですね。

 

失敗は学びの出発点、というマインドセットを持つ

行動して得た気づきはとても貴重なものです。

特にうまくいかなかったことについては、そこに「改善のヒント」が眠っています。

とはいえ、自分の失敗に向き合うのはつらいものです。

これは私が感じていることですが、「自分」の失敗と捉えるとつらくなりがちなので、一旦自分を切り離して、「こうしたらこうなった」という一つの事象として捉えるようにすると、少し客観的に見ることができます。

 

たとえば、自転車のタイヤがパンクしたとします。

まずは原因を突き止めますよね。何かが刺さっているのか、ただ単に劣化してタイヤのゴムにヒビが入ったのか。

次に仮にガラス片が刺さってパンクしていたのなら、それがなぜ起こったのか考えるでしょう。ガラス片などのゴミが多そうな場所を走っていたからとか、空気圧の関係もあるのかな、など。

その後に、今後とるべき手段を考えますよね。

例えば道ばたギリギリだとゴミが落ちている可能性が高いから少しだけ内側を走ろうとか、走る道を変えようとか、ノーパンクタイヤに変えようとか。

こんな感じで、自転車のパンクであればわりと冷静に分析できますよね。

自分の行動も、これくらい突き放して見ることができれば、広い視野から解決策を考えることができます。

 

そして自転車の例であれば、走る道を変えることで「パンクしにくい道」がわかったり、「ノーパンクタイヤに変えたけどやっぱり走りづらい」という気づきを得るなど、

失敗から分析して、その分析に基づいて行動してまた気づきを得て・・・というサイクルを経ることで、以前よりパンクの回数が少なくなり、快適に走れるようになります。

 

「失敗したこと・うまくいかなかったこと」があったからこそ、今、もっとうまくできるようになった、という「失敗こそが学びの出発点だ」というマインドセットを自分の行動に対して持つことが、自己成長のためにはとても大切です。

 

3: この3週間の取り組みと成果

この3週間近く、私は「内省」を意識して振り返りを行ってきました。

ここでは、そのやり方、そして得たものをお話しします。

3-1: 実践したこと

本で紹介されていた著者の行動記録表を参考にして、計画と実績、そしてどんな行動をしてどんな結果になったのかを日々記録しました。

これは2週目の記録表です。

色がついているのはもともと私がつけていた記録表のやり方で、この本で紹介されているやり方ではありません。

1日にどのように時間を使っているかを確認・振り返るために色分けしています。

 

1日の予定と実績、そして下のほうに「こうしたらこうなった」という気づきを書いています。

これを、日曜日にできたこと(よかったこと:Keep)、できていないこと(よくない結果になった行動:Problem)、次にやること(Try)をまとめたKPTのフォーマットに落とし込んで、次の1週間の行動指針を考えました。

 

この左側のページです。

右側は考えながら書いている時のメモです。

頭の中で考えているよりも、とりあえず「外だし」すると考えが進みやすくなるのでだいたい考える時はとにかく書き出しています。

 

3-2: 実践して得られた成果

大きくわけて2点あります。

「できなかったこと」を事象として捉えられるようになった

先ほどもお話したように、私は失敗したら「失敗したこと」そのものから抜け出せず、解決策を考えられずにいました。

それが、「いつ、何をしたら、どうなったか」を書くことを繰り返すことによって、少しずつ冷静に、「この行動がダメだったんだな、じゃあこうしてみよう」という思考になってきています。

 

自己肯定感が高まった

「Keep(よかったこと)」も一緒に振り返るから、がそのひとつの理由ではあります。

ただ、それよりも大きな理由は、前の週にProblemとして挙げたことに対して採ったAction (Try)が功を奏して、状況が改善されたことです。

例えば、新しい項目を学習するときに、出たとこ勝負でやるとどこまでやるかの区切りがつけられず、延々とその学習を続けてしまうというproblemがありました。

それに対して、まずざっくりと学ぶべき項目を把握して、学習素材にもあたりをつけてから計画に落とし込むというTryを設定して実践したところ、効果が得られたのを実感しました。

ここから、自分の成長を感じたこと、それが自己肯定感の高まりにつながったのだと思います。

 

4: まとめ

ここまで、振り返りと自己肯定感に焦点を当てて、本の紹介を交えながら本当のPDCAとは何かについて考えてきました。

 

行動とその結果にフォーカスを当てて、そこから改善策を考える。

書いてしまうととても簡単なことですが、これがとても大切なことだと実践してみて感じました。

 

そして何より、「自分が成長している」という実感を得ること。

「自己肯定感の高め方」という本を何十冊読むよりも、「少しでも進んでいる」と自分が感じること、それが何より、自己肯定感の向上につながります。

 

そしてこの振り返りのやり方、PDCAの回し方を完全に自分のものにして、息を吸うように自然にできるようになること、

それが自己成長のらせん階段を登っていくカギとなるのだと感じています。

 

この本は本当におすすめです。

自己肯定感が高い人も低い人も是非どうぞ。