化学・物理

アルミニウム合金クラッド板

金属の世界に片足を突っ込む

岡野の化学は金属結晶の導入部、金属の特徴のところを学習しています。

と言いつつ、以前金属結合の学習の時に、金属の性質(展延性、導電性、熱伝導率)についてはいろいろと興味がわいたので自分で調べていました。

調べた項目としてはほぼ同じなのですが、やはり検索の方法やノートにまとめる内容がだいぶ違った(例えば、銅線や金箔の製造過程など)ので、なるほどなぁ、確かにイメージで頭に残るな、と思いながら再度ノートを作ってました。

金属には何かしら惹かれるものがあります。金属結合の学習時のビデオで紹介されていたこの本、思わず買ってしまったのですが積読状態です。ゴールデンウィークには読みます。

復刻 100万人の金属学 基礎編

 

というわけで、昨日は金属の性質から何かしら特許を読んでみようと思いました。

自動車に使われるアルミ部品を取り上げてみたいと思い、金属の性質はヒットしやすそうな延性にして検索。アルミと延性を要約部分、自動車を全文で検索したら170件ほどヒットしました。

まずはざっとタイトルのみ見てみます。

目についたのは、ほとんどがアルミニウム「合金」であるということです。そうか、純粋なアルミは使われないのか。なぜだろう、加工しにくいからかな?強度とかの問題?何との合金なんだろうか?

 

タイトルからわかる合金の種類は、チタン‐アルミニウム合金、過共晶Al-Si系アルミニウム合金、過共晶Al-Si系アルミニウム合金 Al-Mg-Si系、など。過共晶ってなんだかわかりませんがとにかく強そうです。ともあれ、マグネシウム、ケイ素あたりがよく使われるのだとわかりました。

 

それから、用途についてです。タイトルから拾ったものは鋳造用、クラッド板、合板、自動車用ロードホイール、電線、リチウムイオン用合金箔、鍛造品、ドアビーム、ガンドリル、軸受用などなどです。

ここからまず、イメージのわかない「クラッド板」を選択しました。昔から最近まで、数件ヒットしたので今後も何かしら出てくるんじゃないかという気持ちからです。

タイトルだけ見ると、こんな感じです。

  • 特開2017-095750、特開2017-095749
    アルミニウム合金クラッド板およびアルミニウム合金クラッド構造部材
  • 特開2008-025004
    クラッド材およびその製造方法、ならびにプリント配線基板
  • 特開2006-131923
    ろう付け性、耐食性および熱間圧延性に優れた熱交換器用アルミニウム合金クラッド材

 

うーん、やっぱりクラッド板が何かよくわかりません。基板と熱交換器?とりあえず最新の「特開2017-095750」を読んでみることにしました。

 

(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来の7000系アルミニウム合金などの単板の、高い強度レベルにおける延性との矛盾を解決し、高強度化と高成形性(高延性)とを兼備し、しかも短時間化された人工時効硬化処理でのBH性を高めたアルミニウム合金クラッド板を提供する。
【解決手段】複数のアルミニウム合金層が積層され、拡散熱処理が施されたアルミニウム合金クラッド板であって、特定組成のアルミニウム合金層をMgかZnの含有量が互いに異なるように積層し、拡散熱処理後の組織として、微細な結晶粒径と、MgとZnの相互拡散領域を有し、更に特定のDSC特性を有するようにして、高強度化と高成形性(高延性)とを兼備させ、しかも短時間化された人工時効硬化処理でのBH性を高める。

人工時効硬化処理、拡散熱処理などいろいろわからない言葉はありますが、異なる種類の合金板を組み合わせて作ったアルミ合金の積層板がアルミニウム合金クラッド板であることがわかりました。

従来技術についてはおそらく「高強度化と高成形性(高延性)との両立ができていない」という内容だろうなと思ったら、やっぱりそうでした。一部引用します。

【発明の詳細な説明】

【背景技術】
【0002】
自動車の車体や航空機の機体など、軽量化のためにアルミニウム合金板が素材として用いられる輸送機の構造部材では、高強度化のための高合金化と、構造部材への成形性あるいは構造材としての延性とが矛盾しやすい。

【0004】
このような高強度化と成形性(延性)との相矛盾する課題は、前記7000系アルミニウム合金板や、超々ジュラルミン板などの、アルミニウム合金板単体(単一の板、単板)の組成や組織、あるいは製法だけで解決することは非常に難しい。

背景技術の中には、強度と延性の両立はまあできているけど、自動車の構造部材としてはちょっと・・・とケチをつけられているものもありました。それから、強度のあるジェラルミンでも、単体ではやはり延性や加工性との両立を図るのは難しいことがわかりました。

ここで寄り道して、7000系アルミなどの合金の種類について調べ、MgやZn、Cuなど添加される元素によって性質が変わるということ、用途別と添加される元素別に細かく分類されていることを知り、特許に戻ると読みやすく感じました。

例えば、Znは耐食性に難があるので、積層板の最上面にはしないなどですね。

最適な積層構造と元素の添加の割合を最適化することで高強度化と高成形性(高延性)を図っているということなのですが、どうやら積層板のそれぞれの層の接合部で起こっていることがカギのようです。ここで「相互拡散」なるものが起こり、その結果ちょうどいい「時効析出物」なるものができることがそのカギだと思うのですが、そこまで調べが進んでません。

 

この明細書を読みつつ、クラッド板の用途、アルミと延性と深い関係がありそうな熱交換器、クラッド板の接合部分で起こっているメカニズムなど、調べたいことがいろいろ出てきました。

岡野の化学で学んだことを具体的な明細書で確認してみる、というのは改めて有効だなあと感じました。

4/19(木)の学習記録

学習時間:6h50m(気が付いたら20時超えてた)

項目: 復習+岡野の化学(102)のノートづくり途中から 
目標: 1h30m               実績: 1h15m

項目: 岡野の化学(103)金属の性質
目標: 3h                             実績: 3h45m(残り5%)

項目: 今日学んだことの特許を検索して読んでみる
目標: 1h30m              実績: 1h50m

4/20(金)の行動計画

項目: 岡野の化学(103)金属の性質 (残り5%)+昨日の復習
目標: 30m 

項目: 岡野の化学(104)
目標: 2h 

項目: 岡野の化学(105)演習問題
目標: 2h 

項目: 橋元の物理(1)
目標: 3h? 
メモ: 先週くらいから「岡野の化学の切りのいいところが終わったら」と言って延ばしに延ばしていた。

項目: 昨日のアルミクラッド材からの疑問点or講座を進める
目標: 1h20m